シードゥエラー

Seadweller

サブマリーナーでダイバーズウォッチとしての実績を築き上げてきたロレックスが次に挑んだのがさらなる深海への探訪だった。そこでロレックスは、飽和潜水に適応させるためヘリウムエスケープバルブを新たに開発した。この画期的な機構によって、ダイバーズウォッチは飛躍的な進化を遂げた。こうして誕生したシードゥエラーは、まさに未知なる世界へと果敢に挑んだ深海の先駆者だった。

シードゥエラー

シードゥエラーとは

コメックス社の協力を得てプロ向けに開発

ダイバー

シードゥエラーの開発には、フランス・マルセイユに本拠地を置く世界最大の潜水専門会社コメックス社が大きく関与している。

1960年代、コメックス社はダイバーたちにサブマリーナーを支給していたが、ここでトラブルが発生した。大深度への潜水を可能にした飽和潜水の際に、時計の風防が吹き飛んでしまう事故が多発したのだ。これは、潜水に必要な深度圧を調整するために加圧されたヘリウムガスが、浮上時に時計内部で膨脹してしまうことが原因だった。

この事故をきっかけに、ロレックスはコメックス社の協力を得て大深度潜水に対応可能なシードゥエラーを開発。時計内部のヘリウムガスを排出するヘリウム・エスケープバルブの搭載により、従来の問題点をクリアすることに成功したのだ。

ケースはサブマリーナーよりもさらに厚く頑丈なものに変更。高い水圧にも耐えられるように長い間サイクロップレンズは採用されなかった。(Ref.126600よりサイクロップレンズを採用)

Ref.1665

1967年に誕生した当初から、防水性能はサブマリーナーの2倍以上を誇る610mを誇った。その後1220m防水にスペックアップし、最高で3900m防水のモデルまで存在する。

圧倒的な存在感が魅力のプロ用モデル

シードゥエラーの最大の魅力は驚異的な防水性能と、44mm径、18mm厚というケースのボリューム感が放つ圧倒的な存在感だ。さらに高防水を実現するため、水圧が掛かるほどに密閉性が高まる独自のリングロックシステムを採用するなど、最新テクノロジーを駆使したハイスペックモデルでもある。

またその見た目どおり、重量は約220g(対してサブマリーナは約148g)と重く、日常使いを考慮していない完全にプロフェッショナル向けモデルである。

ケース径・ケース厚比較

モデル ケース径 ケース厚 
シードゥエラーRef.126600 43mm 18.1mm 
サブマリーナーRef.114060 40mm 13.2mm 
エクスプローラーⅠRef.214270 39mm 11.3mm 

シードゥエラーの魅力

1000mを超える防水性

シードゥエラーの最も大きな特徴はその防水性。その数値は4000フィート(1220m)を誇る。同じダイバーズウォッチとしてカテゴライズされるサブマリーナーの実に4倍以上の水深まで耐えられる。他にも2008年に登場したRef.116660は、3,900mという驚異的な防水性を誇る。

これらはダイバーズウォッチのパイオニアであるロレックスが、超技術力を結集して生み出したリングロックシステムという特殊な気密性で実現した数字である。

ウエットスーツ着用時を想定したダブルエクステンションシステム

深い場所を潜水する場合は、ウエットスーツを着用するが、その時はウエットスーツの上から時計を装着する。シードゥエラーはその場合に使用することを想定し、バックルは時計を外さずにブレスレットの調整を行うことができる。分厚いウエットスーツに着替えた際も毎回コマを調整することなく合わせることができる。

自動減圧バルブ

大深度潜水時に時計の破損を防ぐために、ケースからヘリウムを排出する自動減圧バルブを左横に装備。1967年にロレックスが初代シードゥエラーに搭載して特許を取得したこの技術が、深海飽和潜水の発展に多大な貢献を果たした。

逆回転防止ベゼル

潜水時間を測定するためのベゼルの目盛りは60分まで1分刻みとなっている。空気残量が命に関わるダイバーにとって誤操作などでベゼルが動くことは致命的。そのため、逆回転防止機能がついている。

素材は耐傷性に優れ、紫外線の影響を受けにくいセラミック製。見た目も美しいだけでなく、傷つきにくいので長い間その見た目が維持できるという大きなメリットがある。

プロ用なのでレンズ無し(旧モデルまで)

多くのロレックスに搭載されているデイト機能(カレンダー)にはカレンダーの視認性を高めるためにサイクロップレンズがついている。しかしRef.126600より前のシードゥエラーには防水性を高めるためレンズがなかった。サイクロップレンズがあるとそこに水圧が集中し、風防の強度が確保できないことがその理由とされていた。なおRef.126600よりサイクロップレンズが備えられている。

スーツスタイルにはあわせにくい

精悍な黒文字盤のサブマリーナーはスーツに合わせても違和感のない時計だが、厚くて重いシードゥエラーはそのボリューム感による主張が強すぎるため、精悍な黒文字盤であってもスーツスタイルなどに合わせるのは難しい。

ケース径が43mm前後のかなり大振りな大きさなので、購入する際は実際に着用したうえでサイズ感を確認することをおすすめする。

シードゥエラー4000の文字盤は黒文字盤と青文字盤の2種

シードゥエラー4000(Ref.116600)の文字盤は2種。2008年にリリースされた黒文字盤(Ref.116600)か、2014年にラインナップに追加されたDブルーと呼ばれる青の文字盤(Ref.116600)である。この2つは同一のレファレンスということからもわかるとおり、文字盤以外、スペックや外装の作りはまったく同じ。

シードゥエラー4000 Dブルー

なお、Dブルーの文字盤はロレックスで初めて採用されたグラデーションカラーで、深海を連想させるイメージになっている。そのため、色も青というよりかはネイビーに近く、落ち着いた雰囲気。ライムグリーンで記されたDEEPSEAのモデル名もアクセントとなって、重厚な雰囲気を残しつつもトレンド感を演出している。

ちなみに、最新モデルであるシードゥエラー Ref.126600の文字盤は黒のみ。

現行モデル シードゥエラー Ref.126600

スペック

タイプ スポーツモデル
ムーブメント 自動巻き Cal.3235
防水 1,220m防水
ケース経 43mm
素材 904Lステンレススチール(ケース&ブレス)/セラクロム(ベゼル)
ダイヤル
風防 サファイヤクリスタルガラス
振動数 28,800振動
パワーリザーブ 約70時間

デイト表示/ヘリウム排出バルブ/トリプロック式ネジ込みリューズ/クロマライト夜光/セーフティー機能付きオイスターロッククラスプ/ロレックスグライドロックエクステンションシステム(延長できるエクステンションシステム)/フリップロックエクステンションリンク(延長可能)/高精度クロノメーター

高精度かつロングリザーブの次世代ムーブメントを搭載

Ref.126600に搭載しているムーブメントは14件の特許を取得し、ロレックスの技術の粋を集め開発されたCal.3235。特殊な加工技術による軽量化でエネルギー効率が従来よりも約15%向上したクロナジー脱進機や、大きな動力ゼンマイを収納するために香箱の壁を薄くして実現した約72時間ものパワーリザーブを搭載。

なお、このムーブメントは2016年の新デイトジャスト41に初めて搭載されたCal.3235をスポーツモデルに初めて採用したもの。±2秒以内というCOSC認定の2倍以上の精度を、ケーシング後に達成した高精度クロノメーター仕様。

ほかにも、新開発の引き込み式ツメにより操作禁止時間帯がないデイト表示のほか、耐磁耐衝撃性に優れたヒゲゼンマイ、耐衝撃性が高められた耐震装置など、高い性能を実現している。

シードゥエラーでは初めてサイクロップレンズを採用

このモデルよりデイト表示を読み取りやすくするためのサイクロップレンズが、シードゥエラーに初採用となった。ちなみに、それまでのモデルでは風防の耐久性を考慮してシードゥエラーには採用されなかったと言われていた。

長時間発行する夜光塗料

夜光塗料はブルーに発光するクロマライト夜光。一般的なスーパールミノバの約2倍にあたる最長8時間夜光する。

延長が可能なブレスレット

ブレスレットはグライドロックエクステンションシステム(20mm)とエクステンションリンク(26mm)により、計46mmの延長が可能なオイスターロッククラスプを持つ。

シードゥエラーの旧モデル

1971年 シードゥエラー Ref.1665

コメックス社との協力関係により誕生

シードゥエラーRef.1665はフランスの潜水会社コメックス社との共同開発によって1971年に誕生。当時としては驚異的な610mもの防水性を誇った。ヘリウムガス自動排出バルブを一般市場向けモデルで初めて備え、ムーブメントには高い精度を誇るクロノメーター仕様のCal.1575を搭載。革新的な大深度ダイバーズウォッチとして、プロの潜水士を中心に注目を浴びた。

この時期にはごく稀にSEA-DWELLER SUBMARlNER 2000と赤く表示された通称「赤シード」と呼ばれる珍しいモデルが存在し、その相場は通常タイプの2倍以上になる。もちろん買取価格も高い。

1980年 シードゥエラー Ref.16660

1000m以上の驚異の防水性能を実現

1978年から製造が開始されたシードゥエラーのセカンドモデル、Ref.16660。そのレファレンス番号から一部のロレックス好きの間で「トリプルシックス」と呼ばれているモデルでもある。

風防の素材が強度に優れたサファイアクリスタル風防へ変更となり、形状はドーム形からフラット形へ変更。これらの変更によって、防水性能は初代モデルの2倍にあたる水深1220m防水を実現。

防水性を高めることにヘリウム排出バルブも進化。バルブの直径がRef.1665より大きくなったことでヘリウムの排出の効率化が図られた。ベゼルは逆回転防止式となる。ムーブメントはCal.1575からクイックチェンジカレンダー機能を備えたCal.3035に変更。

このモデルより前はサブマリーナーと同じブレスレットが使われていたが、Ref.16660よりシードゥエラー専用のRef.93160に変更された。これはスチールの塊から削り出して成形した一体型フラッシュフィットを持つブレスレットで、当時のロレックススポーツモデルのなかではワンランク上の作りを持つものだった。

1989年 シードゥエラー Ref.16600

20年以上のロングセラーとなったサードモデル

シードゥエラーのサードモデルとなるRef.16600は1989年に登場。基本的なスペックは全モデルと同様の1220m防水、サファイアクリスタル風防などだが、ムーブメントがCal.3135に変更されたことが最大の変更点。

Cal.3135は、従来のムーブメントに比べ衝撃に強くなり安定性が向上した。また、ネジを使ったテンプの上下位置の調整が容易になり、精度の微調整が行いやすくメンテナンス性に優れたムーブメント。

外装面については、基本的にはメタルフレームインデックスが採用されるようになったRef.16660の後期型が持つ外装が踏襲されている。

Ref.16600は当時の最新技術が盛り込まれほぼ完成の域に達したこともあり、登場から20年以上も製造が続いたロングセラーモデルでもある。

2008年 ロレックスディープシー Ref.116660

オイスターケースを超える革新的な耐圧構造の発明で3900m防水を達成

2012年にロレックスはナショナルジオグラフィックと共同で深海へと挑むディープシーチャレンジを実施。そこで使われた技術はロレックスのスポーツモデルへと反映され、ディープシーRef.116660を生み出した。

このモデルはサファイアクリスタルとチタン製のバックケースの間を、窒素合金の904Lスチールのリングで抑え込む耐圧ボディ「リングロックシステム」を装備。これにより防水性能は3900mを達成した。

2014年 シードゥエラー4000 Ref.116600

耐傷性に優れたセラミックベゼルや強力なクロマライトを新搭載

シードゥエラーとして6年ぶりに復活したRef.116600は40mm径の厚みのあるケースに、約48時間パワーリザーブのCal.3135を搭載。ダイヤルのモデル名は通常の白文字。セラミック製ベゼルや強力なクロマライト夜光、耐磁耐衝撃性に優れるブルーパラクロムヒゲゼンマイを搭載。

ヘリウムガス排出バルブを備えた1220m飽和潜水用防水機能はそのままに、耐傷性に優れたセラミックベゼルや、強力なクロマライトを新たに搭載し進化を果たした。

しかし、2017年のバーゼルワールドでモデルチェンジが発表され、製造期間がわずか3年ほどで生産終了となった短命モデル。
Back to Top