スポーツ系ロレックスの中で最もシンプルなデザインで常に人気の高いエクスプローラー1の新作が2021年に登場。前作より3mm縮小され、36mm径に。となり、1953年に誕生した初代の大きさに近づいた。さらに、ステンレスとゴールドのコンビモデルもリリースするなど、大きな変革が起きた。
2021年にエクスプローラーの新作が登場
オンラインイベントで発表
高級腕時計の新作発表は、毎年4月にスイスで開催される世界最大の時計見本市バーゼルワールドで発表されるのが通例だが、世界的なコロナ禍の影響で、2021年のバーゼルワールドは開催中止が決定。結果的に100年以上にわたる歴史に幕をおろした開催が中止された。
その代わりとして、ロレックスは4月にオンラインイベントを開催。ここで新作を発表し、その一環として、ロレックス定番人気モデルのエクスプローラー1のモデルチェンジが発表された。
エクスプローラー1の新作は多くの人の意表をついた
ここオンラインイベントで発表されたのは、新しいタイプのムーブメント3230を採用したエクスプローラー1の新作2種。通常のステンレススチール仕様のRef.124270に加え、エクスプローラー1では初となるコンビ仕様のRef.124273。
さらに、新型モデルは2010年から続く39mm径というサイズから、初代エクスプローラー1から56年間継承されてきた本来のサイズである36mm径にサイズダウンしたというのも同時に発表。
これには多くの人が驚くことになった。というのも、近年のロレックスは2020年にモデルチェンジを行ったサブマリーナーデイトでもケースのサイズアップを実施しており、エクスプローラー1に関しても当然のように39mmケースを継承するものと思われていただけに、36mmケースの復活は、大きな驚きを生んだ。
エクスプローラーシリーズ初のコンビカラーモデル
新型エクスプローラー1は、904Lステンレススチールを用いたモデルと、シルバー×ゴールドのコンビカラーモデルの2種がラインナップ。
エクスプローラー1はこれまで長年ステンレススチールモデルのみの展開で、シルバー×ゴールドのコンビカラーはエクスプローラー2も含め、エクスプローラー系のモデルでは初めて。
このコンビモデルは、差し色にゴールドが入ることにより、高級感が増し、これまでのエクスプローラーシリーズになかったエレガントさも持ち合わせるようになった。
時計が小振りになって使いやすくなった
3mmの差は小さいようで大きい
エクスプローラーマークの位置の違いはすぐわかるが、それ以外の箇所はカタログやホームページだけの画像であれば、旧式と新型エクスプローラーの見分けはつかないほど似ている。
ただし、実物であれば見た目の感じは大きく変わり、3mmといえども、手元は目の行きやすい場所ということもあり、この差は大きく、非常にコンパクトになった印象を受けるだろう。
手首につけた際のバランス感
旧式エクスプローラー1の39mmも、スポーツ系の腕時計の中ではそこまで大きくない小ぶりな部類に該当していたが、新型の36mmケースのバランス感が上がったと言える。
特に、欧米人に比べて細身の日本人には、36mmのほうが腕時計と体のバランスから、そこまで目立たず小さすぎずの大きさであり、エクスプローラー1のさりげないシンプルな美しさを引き立てる要因となっている。
時計をひときわ目立たせたいアクセサリーとして考えるのであれば、大きくて厚いモデルが適しているが、上品にさりげないが優雅に見せたいのであれば、これくらいの大きさのほうが適していると考える人も多い。
このモデルチェンジに伴い、誰もが知る高級腕時計の格に加え、ドレスモデルのような控えめながらも程よい華やかさによって、手首を彩ってくれるアクセサリーとしてエクスプローラー1は新たなステージに立ったと言える。
腕時計サイズは時代によって変わってきた
2021年に発表されたエクスプローラー1の36mmケースは、1953年初代から2010年の間にリリースされていたモデルと同じサイズだった。
そして、2010年のリニューアルで36mmから39mmへとリニューアルされ、その後2021年に36mmの大きさに。つまり、一度ケースサイズは大きくなったが、2020年を超えてまた当初のサイズに戻ったと言える。
そして、このサイズ変遷はエクスプローラー1だけでなく、近年の腕時計のサイズに関係している。
2000年初頭から大きく厚い時計が台頭
これがパネライやIWCの「ビッグ・パイロット・ウォッチ」など、後のデカ厚ブームに影響を及ぼすこととなる。
2000年初頭、腕時計は、特にスポーツウォッチは、より大きく厚くなる傾向にあった。代表的なモデルといえば、パネライの各種シリーズやIWCの「ヒッグ・パイロット・ウォッチ」などで、これらのモデルが高級腕時計の「大きく厚いケース」というブームを築いた。ロレックスも同様にドレス系モデルであるデイトジャストにもケースの厚さはそこまででもないが、大きさが41mmサイズのモデルをリリースしている。
2015年頃より小振りなケースが主流に
その後、大きくて厚いケースのモデルが一時的な流行から定番のカテゴリーとして定着すると、一転して各ブランドから小振りなケースが2015年頃より徐々にリリースし始める。
小型化によって、さり気なく優美に装う控えめな点が評価されることもあり、小型化の風潮はドレス系の腕時計が主流だった。しかし、小型化はスポーツ系のカテゴリーにも浸透していく。
小型の高級腕時計の控えめな雰囲気は、さり気なく優美さを印象づけやすく、小型化の風潮はドレス系のモデルが主流だった。しかし、小型化はスポーツ系のカテゴリにも浸透していく。
エクスプローラー1の小型化によって全体の意識変化が起こる
スポーツ系腕時計の象徴的なモデルであるエクスプローラーは、2021年に従来のモデルから3mm小さくなったことにより、高級腕時計のスポーツ系モデルでも小型化の波が起きていることが多くの人の共通認識となった。
また、この流れは、他のブランドでも同様に起こっており、先ほど紹介した大きめの高級腕時計のメインストリームブランドだったパネライも、小型化モデルが徐々にリリースされている。
世の風潮が、目立たせるという美学から、さり気ない優美さを求めているようにも考えられる。
このように、近年は腕時計の小型化が進んでいたが、エクスプローラー1の小型化によって、その動きが2021年に決定的になったといえる。
機能は現代らしく高スペックへ
ムーブメントは最新スペック
外見の変化が大きくフォーカスされているエクスプローラー1だが、変わったのは外見だけではなく、内部も大きく進化している。他のロレックススポーツ系モデルと同様に、高精度で耐衝撃性や耐磁性に優れたブルーパラクロム・ヘアスプリングやパラフレックスショックアブソーバーを採用。
ムーブメントには教件の特許を持つムーブメント3200系を搭載。パワーリザーブも約70時間にまで延長され、精度も日差プラスマイナス2秒と非常に優れたものとなっている。
暗いところでも優れた視認性を実現
暗い場所で時間を把握することが容易なように、インデックスや針には、暗い場所で青く光る素材を採用している。
この素材はロレックス独自のクロマライトディスプレイ最新版を採用。これまでのモデルで使われていたものよりも明るく、長い発光時間も実現しているので、実用性が更に高まっている。
レファレンスは2世代前のものがベース
新型モデルのレファレンスは特殊な番号付けになっている。通常であれば、ひとつ前の世代をベースにするため、Ref.224270のレファレンスが採用されるのだが、今回のエクスプローラー1のSSタイプは、2世代前のRef.114270をベースにしたRef.124270のレファレンスとなっている。
レファレンスは2世代前のものがベース
ゴールドコンビモデル | ステンレススチールモデル | |
---|---|---|
リファレンス | 124273 | 124270 |
価格 | 1,142,900円 | 676,500円 |
素材 | 904Lステンレススチール×K18イェロー ゴールドケース&ブレス |
904Lステンレススチール |
- ケース 36mm
- 防水性能100m防水
- ムーブメント自社製(Cal.3230)
- 耐磁性ブルー・バラクロム・ヒゲゼンマイ
- パラフレックスショックアブソーバー
- 毎時2万8000振動
- 約70mパワーリザーブ